2024年11月25日

鍼灸治療の安全性とリスクについて

鍼灸

こんにちは！富田林市の鍼灸院元気のツボの寺元です。皆さんは鍼灸治療を安心して受けられていますか？鍼灸治療は、多くの方が痛みの緩和や健康維持のために利用しています！しかし、体に侵害刺激を与えている以上、リスクが存在するのも事実です。ここでは、「鍼灸治療における事故」に焦点を当て、具体例を挙げながら解説していこうと思います。皆さんが安心して鍼灸を受けるための知識として、ぜひお役立てください！

他にも鍼灸の効果や適応症状についても別の記事でご紹介していますのでこちらもぜひご覧ください！

鍼灸治療で起こりうるリスク：患者さんが知っておきたいこと

1. 気胸（ききょう）

鍼灸治療において最も知られているであろう事故の一つが「気胸」です。気胸とは、鍼が肺を傷つけることで空気が漏れ、呼吸が苦しくなる状態のことをいいます。特に、斜角筋や胸部、特に背中への施術には注意が必要です。症状としては、突然の胸の痛みや息切れが挙げられ、場合によっては命に関わることもあります。実際に無資格のスタッフが鍼施術をして亡くなった事例もあります。資格取得から数年の鍼灸師であれば、事故の起きやすい場所に対しては、「適切な深さと角度」を見極められるため、発生は稀ですが、リスクがゼロではないことを理解しておいてくださいね。

2. 折鍼事故（せっしんじこ）

折鍼（せっしん）とは、鍼が体内で折れてしまう事故です。原因としては、運動鍼とよばれる鍼を少し刺した状態で患者に動いてもらう施術や、低品質な鍼の使用が挙げられます。折れた鍼が体内に残ると、取り除くために手術が必要になるケースもあります。実際にプロ野球選手が折鍼により、鍼が体の中に入ったまま取れなくなり、外科手術することになった事例もあります。そのため、施術を受ける際には、どのような施術をするのかを確認し、使われる鍼の品質にも注意を払うことが大切です。

3. 臓器損傷

鍼が深く刺さりすぎることで、内臓を傷つける可能性もあります。臓器のある「腹部や腰」への施術で起こるリスクが高く、腸や腎臓などが損傷するケースがあります。こうした事故は非常に稀なのですが、解剖学への理解が不十分なのに施術をしてしまうことで、発生する可能性があります。当院も長い鍼を使った深鍼を多用するので、非常に気をつけています。ただ例外で、直接胃に鍼を刺し、胃下垂を軽減させる施術法もあります。ともかく、施術する鍼灸師に「何故そこにこの長さの鍼を使用するのか」を丁寧に説明できるかを事前に確認できれば、こういった事故を防げます。

4. 神経損傷

鍼が障害の起きている神経の周りに刺激を与えたり、神経に直接触れたりすることで、しびれや痛みが発生することがあります。これも稀ですが、場合によっては一時的な麻痺や感覚異常が起きることもあります。しかし粗雑な施術でなければ、自然に回復するケースがほとんどです。このリスクを避けるためには、神経が密集している箇所への理解の腕が重要になります。ただ、神経症状のある場合は密集箇所に積極的に施術をする場合も多いです。その時はキチンと説明を受けて同意するか判断してください。

5. 灸痕化膿（きゅうこんかのう）

お灸によるやけどが化膿し、感染症を引き起こす場合があります。特に敏感肌の方やアレルギー体質の方は、皮膚の状態を事前に施術者に相談することが非常に大切になります。現代のお灸は、せんねん灸など低温で安全性の高い方法が一般的なのですが、それでも水ぶくれになる方もいます。やけどを防ぐためにも、カウンセリングでしっかり相談して施術を受けましょう。とはいえ当院では、わざとやけどを付ける施灸をします。

なぜ当院では痕の付くお灸をするのかは、「お灸について」で解説しています。良ければ読んでみてください！

6. 感染症

鍼を使い回したり、手が汚いなど衛生管理が不十分な施術では、感染症を引き起こすリスクを伴います。HIVや肝炎などは、使い捨ての鍼が一般的な現代ではほぼ無いですが、重大な感染症を防ぐためにも、「使い捨ての滅菌鍼を使用している施術所か患者一人一人専用の鍼を用意している鍼灸院」を選ぶことが必須です。衛生面の確認は、患者様自身が確認できるポイントの一つです。