こんにちは。
二天堂鍼灸院 元気のツボの寺元です。
腰痛で悩んでいる方の中には、
- 腰の少し上が痛い
- お尻の上あたりがズキズキする
- 長時間立つと痛い
- 前かがみになると痛い
という方がいます。
もしかするとその症状は
「上殿皮神経障害」
かもしれません。
一般の方にはあまり知られていない症状ですが、
腰痛患者の約14%前後に上殿皮神経障害が関与していたという報告もある言われています。
今回は
- 上殿皮神経障害とは何か
- なぜ起こるのか
- 放っておくとどうなるのか
- 鍼灸でできること
をなるべくわかりやすく解説していきます。
他にも、鍼灸の効果や適応症状についても
別の記事でご紹介していますのでこちらもぜひご覧ください!
上殿皮神経とは?

上殿皮神経とは、
主に腰椎(L1〜L3)から出て骨盤の上を通り、お尻の上部の皮膚感覚を支配する神経です。
特に重要なのが、
胸腰筋膜と腸骨稜の間を通過する部分で、
この部分で神経が圧迫されると、
上殿皮神経障害が発生してしまいます。
上臀神経痛の症状

お尻の上が痛む(腸骨稜周り)
ベルトのライン周りに痛みがよく出ます。
患者さんは
「腰とお尻の境目」
と訴えることもあります。
前屈で痛い
他の腰痛でもありますが、
靴下を履く動作
顔を洗う動作
などでも症状が誘発されます。
下肢のしびれは少ない
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症との違いです。
上殿皮神経障害では足先までの強いしびれは少ない傾向があります。
上臀神経痛の原因
① 胸腰筋膜の緊張
主にこれです。
胸腰筋膜とは簡単にいうと
背中〜腰を包んで体幹を安定させるコルセットのような膜です。
- 脊柱起立筋
- 多裂筋
- 広背筋
- 臀筋群
などで構成されており、硬くなると神経が圧迫されやすくなります。
② 長時間の座位
デスクワークは非常に危険です。
長時間同じ姿勢になることで胸腰筋膜の滑走性が低下します。
③ 繰り返しの腰部負荷
- 重量物運搬
- 中腰作業
- ゴルフ
- 野球
なども発症要因になります。
上殿皮神経障害を放置するとどうなるの?

「ただの腰痛だからそのうち良くなるだろう」
そう思っている方は多いです。
しかし放ったらかしにすることで症状が慢性化する場合があります。
① 痛みを避ける動きがクセになる
最初は
- 前かがみが痛い
- 長時間立つと痛い
程度だったものが、
無意識のうちに痛みを避ける動きをするようになります。
例えば、
- 腰をかばって歩く
- 片側に体重をかける
- 前かがみを避ける
などです。
すると別の筋肉や関節に負担がかかり、
腰痛だけでなく全身に不調が波及していきます。
② 痛みに敏感な状態になる
痛みが長期間続くと、
神経や脳が痛みを記憶してしまうことがあります。
これを
中枢性感作(ちゅうすうせいかさ)
と呼びます。
本来なら問題ない刺激でも
強い痛みとして感じるようになる状態です。
こうなると改善まで時間がかかることがあります。
③ 運動不足になる
腰が痛いと
- 散歩しなくなる
- 趣味をやめる
- 外出が減る
という方が多くいます。
すると
筋力低下
↓
姿勢悪化
↓
さらに腰痛
という悪循環に入ります。
④ 睡眠の質が低下する
慢性的な痛みは睡眠にも影響します。
特に
- 寝返りで痛い
- 朝起きた時に痛い
という状態になると、
体の回復力も落ちてしまいます。
⑤ 精神的なストレスが増える
実際に慢性腰痛患者さんでは
- 不安
- イライラ
- 集中力低下
などがみられ精神的に狂ってきます。
腰痛は単なる腰の問題ではなく、
生活全体に影響する問題なのです。
鍼灸で考えたいポイント

上殿皮神経障害では胸腰筋膜の緊張を解く必要があります。
なのでアプローチするところは胸腰筋膜を構成する、
- 腰方形筋
- 多裂筋
- 大殿筋
- 広背筋
へのアプローチが必須です。
※画像は広背筋へのアプローチです。
他にも鍼刺激には鎮痛作用があり
- 下行性疼痛抑制系
- 内因性オピオイド
- セロトニン系
などを介して脳内ホルモンによる痛み止めの効果があることが知られています。
その後、戻らないように生活習慣の見直しやセルフケアが大事になってきます。
余談
余談ですが上殿皮神経障害という概念自体は昔から海外の研究でありました。
ただ、この病態の診断法や研究を大きく発展させたのは日本の研究者ようです。
近年では海外の論文でも日本の研究が数多く引用されており、
「原因不明の腰痛」の見方を変えるきっかけになったそうです。
最後に
上臀神経痛はまだ一般にはあまり知られていない症状です。
しかし実際には、
「原因不明の慢性腰痛」
と思われている症状の一部に関与している可能性があります。
腰痛は単純に骨や椎間板だけの問題ではありません。
神経、筋膜、姿勢、動作など様々な要素が絡み合っています。
もし長年続く腰痛でお悩みなら、
一度違った視点から身体を見直してみることも大切です。
他にも、鍼灸の効果や適応症状についても
別の記事でご紹介していますのでこちらもぜひご覧ください!





